ブロック塀の安全性

2005_0511_01▼kon-arch.comこちらのエントリーを拝見して、ちょっと間が空いてしまったのですが・・・。

大きな地震がおきると、家屋やインフラの被害と並んで、コンクリートブロック塀の倒壊が問題になることが多いです。
地震によってコンクリートブロック塀が倒れると、交通の障害になるばかりか、コンクリートの塊が倒れてくるのであるから、その下敷きになった人はたまったものじゃないですね。
そのような、通行人にとって危険のあるコンクリートブロック塀ですが、その施工のされ方といったら、手抜工事が横行して、多くの施工不良の問題を抱えているという現実があります。
建築基準法では、”高さ1.2mを超えるコンクリートブロック塀には、塀の長さ3.4m以内ごとに控え壁(塀に直交して突出た壁)を設けなければならない”とされているのですが、そのような控え壁がないコンクリートブロック塀を見かけることが、正直多いです。(ちなみに、建築学会の壁式構造関係設計基準に則った設計施工がされたコンクリートブロック塀であれば、1.6mまで控え無しでも可能なのですけど・・・。)
また、塀の基礎が基準どおりつくられてなかったり(なかには、基礎がないものも・・・。)、基礎と塀が鉄筋で緊結されてなかったり・・・。
施工上の手抜きから来るものもあれば、施工業者の無知から来るものもあるのですが、役所の検査がないこともあり、危険な施工がまかり通っているというのが現実なのです。

ところで、コンクリートブロックと見た目が似たものに型枠コンクリートブロックというのがあります。両者を並べてみると解るのですが、シェルと呼ばれる空洞部分をつないでいるところの形状が違います。コンクリートブロックは、鉄筋を入れたところにモルタルを充填して、その他の部分は空洞なのですが、型枠コンクリートブロックは、ブロックを型枠代わりにして、コンクリートの構造体をつくるといった感じになります。土木では、擁壁などに良く使われています。建築では、安藤忠雄さんや山本理顕さんが使ったものを見た事があります。建築の場合、型枠コンクリートブロック造という構造もありますし、鉄筋コンクリート造の壁として使う場合もあります。また、最近では鉄筋コンクリート組石造という構造で、国土交通省の告示も出されています。
前置きが長くなりましたが、私も、塀に、この型枠コンクリートブロックを使ってみたのです。(写真)
太陽セメント工業(株)デンクスという製品。
一般の型枠コンクリートブロックは、ブロックの接合部に10mmの目地ができるのですが、このデンクスという製品は目地部分が突き付けで施工するので、ちょっと見、石積みみたいな感じに仕上がります。
要望として、高さ1.8mくらいの塀にしたいが、アプローチで幅がちょっと狭かったために控え壁がつけられなかったことと、コンクリート打放しは嫌いだと依頼主さんから言われてしまい・・・。アルミ製・樹脂製のものは最初から検討外。木製はコストとメンテから言って無理。といった感じでしたので、この塀を採用してみました。

結果。
高かったです。歩掛り以上の差があります。というか、デンクスという製品が高いみたいです。
でも、ブロックの上に仕上げをしなくてもよい程度の美観があるので、そんなに割高でもないのかもしれません。
また、結構いい質感でした。
しかし、このデンクス。目地なし施工なので、職人さんが嫌がるみたいです。(というか、この現場では、おもむろに”やったことないのでできない”なんていわれました。ムカツク。)
ただ、太陽セメントさんで、施工ができるブロック屋さんを紹介してくれます。また、ブロックも太陽セメントさんから直接買うことができました。
ちょっと興味のわいた方は、使ってみてはどうでしょう。

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