告示1100号の土壁

すっかり、書いたつもりになっていたのですが、ウェブサイトの内容を整理していて過去ログを調べていたら書いてなかったので・・・。
こちらにも書いておこうなんて思ってみてしまったのです。

告示1100号とは、”建築基準法施行令第46条”で木造の構造について定められた壁倍率を補足する規定なのですが、平成15年の改正により、土壁の壁倍率に新しい基準が示されたのです。


木造建築物を設計するときには、地震や風など建物に影響を与える力に対して耐えることのできる壁(耐力壁)をつくって、それが建築基準法に適合しているかどうかの計算(壁量計算)をしなければいけません。・・・いけませんというか、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物など他の構造に比べたら、小規模な木造住宅だったら”この程度でよい”と緩和されているのですが・・・。


その壁量計算をするときの”壁の強さの基準(壁倍率)”が、建築基準法施行令46条に定められている従来の土壁は「0.5倍」なのですが、告示1100号第1-5に定められた仕様でつくると「1.5倍」までまでみることができるようになったのです。
壁倍率1.5倍というと、3cm×9cm角の筋違いを入れたのと同じ倍率になります。


現在の土壁の工法は、土壁を”構造の壁”として考えるつくり方と、調湿や断熱など室内気候の調節を主な目的とした”機能材としての壁”として考えるつくり方がありますが、告示1100号の土壁は”構造としての土壁”の仕様ともいえます。


これにより、貫と土壁だけで建物を設計することも可能になり、土壁の可能性がさらに広がったといえます。
そんな、告示1100号の土壁の基準は、ざっと以下のような感じ・・・。
文字で書くと、なんだかムツカシイですが、従来の土壁のつくり方に、ほんの少し品質管理をしっかりしてあげれば、告示1100号に適合した土壁になるはずです。VOCの影響もほとんどない土壁、一つの選択肢として検討する価値があるのではないでしょうか?



《告示1100号の具体的な仕様》
『貫』は、厚さ1.5cm以上、幅10cm以上のものを、91cm以下の間隔で3本以上設け、柱との仕口はくさびで固定する。
『間渡し竹』は、幅2cm以上の割竹または経1.2cm以上の丸竹とし、柱および梁・桁・土台などの横架材に差し込み、貫にSFN25同等以上の釘で打ち付ける。
『小舞竹』は、幅2cm以上の割竹を4.5cm以下の間隔で配置し、棕櫚縄または藁縄、パーム縄などで、間渡し竹に締め付ける。
『荒壁土』は、100ℓの砂質粘土(荒木田土など)に対して、0.4kg以上0.6kg以下の藁すさを混合したもの。
『中塗土』は、100ℓの砂質粘土(荒木田土など)に対して、60ℓ以上150ℓ以下の砂及び0.4kg以上0.6kg以下のもみすさを混合したもの。
上記のものを以下の塗厚で施工する。
 中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚7cm以上 → 1.5倍
 中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍
 中塗土を片面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍

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