「Light in Japanese Architecture~日本建築における光と影~」(著者:ヘンリィ・プラマー 1995年)という本を引っ張り出してきた。
著者ヘンリィ・プラマーから見た日本建築が写真と共に語られている。近代建築については、当時の流行に偏向している感が否めないが、僕のその後の感性に影響を与えた一冊である。
僕は、「日本らしい空間」とは、光と影のバランスだと思っている。
夏の日の暗い室内から見る、光り輝く苔庭の眺めを”日本らしくない”と否定する人はいないと思う。
また、町屋の格子窓から入ってくる光も、和を思わせるのではないだろうか。
これらの”日本らしい空間”というのは、モンスーン地帯に住む我々の先人たちが、暑い夏を快適に過ごすために生み出した知恵であると思う。
庇を深くし、縁を回し、格子戸によって通気をさせる・・・などである。
その結果、”日本らしい”光と影のバランスが出来上がったと思っている。
庭においても、北庭と南庭においては、全く違う作法がされている。
当然、メインの庭は北庭ということになるのだが、室内から見たときに、光の当たり具合なども考え、非常に良くつくられていると思う。ただ、残念なことに、庭が適正に手入れがなされてなかったりして、せっかくの名園が無残な姿になってしまっているところも多々ある・・・。
これらの空間は、昔の日本人が自然と共に暮らし、身の回りの風景を生活に取り込み、豊かに暮らしてきたからだと思う。
ところが、最近の建築は、1つの箱として完結してしまい、箱の外には無関心。せっかくの四季の移ろいも、楽しむどころか、機械に征服させて、無機質な生活をしている人達がいかに多いことか。
せめて、僕のつくる空間は、光と影、四季の移ろいを感じられる空間にしたいと思っている。
▼kon-arch.comさんの「庭と建物」というエントリーを見て、思ったことを書いてみた。