「新日本様式」ってなんだ?

10月30日に、新日本様式協議会というところから、新日本様式100選(今年の選定分は53品)というのが発表されたらしい。

新日本様式協議会のウェブページによると、新日本様式とは、

現代の先端技術にもつながる我が国の伝統文化を現代生活の中で再評価し、今日的なフィルターを通した上で再提言を通じて確立されるものであり、素材を自然の命として尊び、引き継がれた知恵や技を大切にしつつ、常に新しい技術や文化を作り出す「たくみのこころ」、全体への責任意識をもちながら、個性を磨き、気品と気概のある生き方を求める「ふるまいのこころ」、そして異質な考えや新しいものを尊重しながら、自己を確立し、多様性と調和を重んじる「もてなしのこころ」の3つの「こころ」

のことだそうで、その選定基準は、

(1) 日本の伝統文化、素材、技術や精神と、日本を含む世界的な先端技術との融合が図られているもの(ハード、ソフト)であること、また、日本の伝統文化、素材、技術や精神を、現代のライフスタイルにふさわしいかたちで提案しているもの。
(2) <伝統文化×先端技術>あるいは<伝統文化×現代のライフスタイル>を満たすもの。

だそうです。

今年の選定作品53点は、ここで見ることができるので、興味のある人は見てくださいね。

で・・・・
私、すべての作品を見させていただいたのですが、この「新日本様式」というものに、ちょっと疑問がわいてきたのです。
受賞作品がプロダクトデザインに偏ってるというのもあるのでしょうが、大企業の”製品”や、話題になったものが非常に多いような気がしました。

たしかに、人々から多くの支持を得たものというのは、それなりに優れたものであるのは間違いないのでしょうが、プロダクトデザインというのは、基本的には、企業の側が製品として発信したものしか消費者は選べないシステムであり、必ずしも”消費者がこれを欲している”というものとは同意でないと思うのです。

受賞作の多くは優れたデザインであり、優れた理念の基に作られたものだと思うのですが、僕にはそれらが、既存の仕組みである”グッドデザイン賞”と、どのように違うのか、よく解らないというのが正直な感想です。
なかには、この新日本様式の理念にあわせるような、とってつけたような説明がされてるものもあったり・・・。

僕も仕事で、”言葉を後付する”というようなことをすることもありますが、ネームバリューのある企業のヒット商品ならば、後付の理念でも受賞できてしまうのであれば、ちょっと空しい気がします。
それが、様式という名のもとに”日本の新しいスタンダード”だといわれても・・・。と感じてしまうのですが。

繰り返しますが、受賞作の多くは、すばらしいものが多いと思います。
しかし、その理念として、新しい日本の様式となり得るのものなのか?
「新日本様式」というものが、日本製品を世界に売り込むツールなんていう小さいものではなく、これからの世界が進むべき方向として、日本が発信していく新しい様式、というようなものにしてほしいと感じるのですが・・・。

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