個人的に、常滑の街並みが好きなので気になってしまいました。
歩いて回ると、いろいろな発見のあるまちです。
開発に取り残された感がある反面、良い雰囲気をたくさん残したまちだと思います
その反面、歩いてしか移動できないことが、そこに住む人に不便を強いている事は確かです。
また、住民の中に景観意識のある人が少ないということも悲しいことです。
これは常滑に限らず、日本人全体にいえることだと思います。
「ただ、景観や街並みは、経済には勝てないのか?」と考えると、虚しい気分になってきます。
いっそのこと、公共が買い取って再配分することが可能ならば、観光的にもすばらしいものになると思うのですが・・・。
とりあえず、長いですがasahi.com(今朝の朝日新聞名古屋版)の記事を全文転載させていただきます。
NPOの景観案 たなざらし1年 常滑
2006年06月23日
常滑焼の古い窯や煙突が立ち並ぶ常滑市の「やきもの散歩道」の景観を守ろうと、地元のNPOが作った景観保全計画案が、発表から1年以上過ぎても住民や市の理解を得られず、たなざらしのままになっている。この間、一帯には高層マンションが建ち始め、古い街並みは徐々に姿を変え始めている。
計画案を作ったのは、やきもの散歩道一帯の景観の保全を訴えるNPO「タウンキーピングの会」(山本幸治理事長)。景観法が04年12月に制定されたのを機に、煙突や黒板塀、焼酎瓶を使った壁など独特の景観を守ろうと、散歩道一帯の約20ヘクタールの景観の基準となる「景観計画市民案」を05年3月に発表した。
計画案は、無秩序な建物利用や看板の設置を防ぐため、▽建築物を3階以下に抑える▽外壁の色を黒や茶を基調にする▽れんが造りの煙突は修理・復元に努める――などの基準を提案した。
だが、住民の反応は鈍かった。対象区域には250世帯、700人が住むが、細い路地に住宅と窯、商店が混在しており、「景観を守って人が増えても、土産物屋と食堂が喜ぶだけ。住民には税金の無駄遣いだ」(70代男性)、「観光客がぞろぞろ歩くのは邪魔だ」(60代男性)と、景観保全に後ろ向きな声が強いためだ。
景観法では、NPOがこうした景観計画を自治体に提案するには、地権者の3分の2以上の同意が条件。山本理事長は「住民の同意を得るには時間も労力も足りない」といい、意識のずれを認める。
一方、同市は「空港と焼き物のまちを多くの方に楽しんでいただきたい」(石橋誠晃市長)と「やきもの観光」をうたいながらも、「景観保全の意識が強い人は一部に過ぎない。景観保全のための財政的な準備もできていない」(計画建築課)と、条例や景観法による規制には二の足を踏んでいる。
計画案がたなざらしとなっている間に、周辺では開発も始まった。計画案の区域内の1カ所と、隣接する1カ所では、それぞれ製陶工場の跡地に9階建て、高さ27メートルの高層マンション建設が進み、07年夏までに完成予定だ。同市内では中部国際空港の開港にあわせて大型マンションや社員寮などの建設が相次いでいるが、やきもの散歩道周辺での建設は初めて。敷地内にあったれんが造りの煙突は取り壊された。設計業者は「規制があるなら高さを抑えたかもしれないが……」と話す。
山本理事長は「日本中でこれだけ煙突が見られる地域はここだけ。だが住民がその価値を実感し、街並みの伝統を誇りに思わなければ、景観は崩れてしまう」と訴えている。