「01_まちやまちづくりのこと」カテゴリーアーカイブ

土地区画整理

僕が独立して設計事務所を始める前に勤務していた会社は、本業が区画整理でした。
(その会社に勤務する前は、設計事務所で意匠設計をしていましたが・・・)
その会社でも僕の仕事は建築の設計だったのですが、街づくりのマスタープランとか、宅地開発計画みたいなこともしていたりしました。

それはそうとして、会社勤めをしているときから、おぼろげながら感じていた事があるのです。
「はたして今のこの世の中、土地区画整理というのは必要なのだろうか?」ということです。
というか、必要な区画整理もあるでしょうが、不必要な区画整理がいたるところで行われている感じがします。

ご存知の方も多いかと思いますが、現在、建物を建築しようとすると、その土地は幅4m以上の道路に2m以上接していなければいけないという建築基準法上の規定があります。
(この規定自体が、まず自動車ありきという考え方で、街並み保存などの観点からは納得ならない規定なのですが・・・)
密集市街地などのように、この条件に当てはまらない土地を解消するためには、土地区画整理は有効な手法なのかもしれません。
しかし、これ以外に農地や山林を宅地開発するのにも区画整理が使われていたりします。それも、補助金という名のもとに税金が使われているのです。

現在、住宅は供給過剰状態にあり、世帯数よりもその数のほうが多い時代です。
そういう時代に、税金を大量に投入して都市をスプロールさせ、都市を取り巻くさまざまな問題を助長させ、農地・山林所有者に“濡れ手に粟“の利益をもたらすのは国家犯罪といえないだろうか?と思うのです。

先日、縁あって今年定年退職された方の家の設計をさせていただく機会がありました。
聞けば、区画整理で、やむなく今まで住んでいた家から移転しなければいけなくなったとのこと。今までは、山の頂上に悠々自適に暮らしていたそうなのですが、今度は、減歩された挙句に12m幅の大通りの角に換地。まあ、そのへんの“良い“”悪い“は人の価値観なのですが、定年後、以前の環境で暮らせるのが一番ではなかろうか?と思えてなりません・・・。

そういっている今も、降って沸いたような区画整理の話に、翻弄され困惑している人がいるかと思うと、何か力になれないものかと思ってしまう。
一応、区画整理のノウハウはあるので・・・。