家をつくっていく方法として、特にこの方式が優れているというものは無いのだろう。工務店に依頼するのも、ハウスメーカーに依頼するのも、CM方式でつくるのも、一長一短がある。
要は、自分の考えにあったつくり方を選ぶのが一番良いということだろう。
しかし、それだけでは良い家をつくることは難しいだろう。
システムの良し悪しと、人の良し悪しは別だからである。
つまり、どの方式を選んだにしても、良い業者もいれば、悪い業者もいる。質の高い家作りをしているところもあれば、金儲けのためだけに家を作っているところもあるのだ。
また、評判の良い業者であっても、担当者の質にばらつきがあることもある。
実際に自分が依頼する相手を間違えると、それこそ、悲惨なことになってしまう事が多い。
やはり、この一緒につくっていく相手を決める(探す)事が、最も重要なことなのだと思う。
人を探すにあたっては、”センスとか技術が優れている”というのはもちろんのこと、”話しやすい、なんでも相談できる”相手を探して欲しい。
自分の要望をすべてぶつけて、可能・不可能を取捨選択して進めていくことは重要だと思う。住み始めてから「あの時言っておけばよかった」では、ずっと後悔を引きずって住んでいかなければいけない。
また、家作りは長丁場である。(個人的には、設計から始まって最短一年半くらいはかけたい。)
その間、息の合わない相手と、ずっと付き合っていくのは、かなりの苦痛であり、現場もギクシャクしてしまう。
よい家をつくりたいなら、やはり、自分にあった方法と、自分にあった相手を探すことが重要であろう。
最後にCM方式について一言。
一つの家づくりのシステムとしては、優れているのだろう。
ただ、やはり人の問題である。
僕も、一時期、この方式を検討した事があったのだが、僕の経験から言って、現場をマネージメントしていくというのは、荷が重過ぎると思い、CM方式を業務とすることは断念した。現場監督でも無いのに、現場に引きずられているよりも、もっと設計というものに軸足を置くほうが本来的であると判断したからである。つまり、餅屋は餅屋、現場は工事の専門家に任せ、自分はデザイン力・設計力で勝負しようと決めたのである。
もちろん自分のつくりたい物を、突き詰めていくと、設計と施工を分業していることの限界を感じることもある。設計施工を一貫して自分が手がけることが出来れば、もっといいものが出来たかもしれないと思うこともあるのだが、その逆のあるかもしれない。やはり、他人に対して責任を負うのは、自分の専門とするところとするべきであろうと・・・。
ただ、設計事務所という看板を上げていても、クラフトマンシップというのか、家造りに本気で取組んで突き詰めてやっているところはたくさんある。
そういうところで、CM方式の家作りができるところならば、検討する価値は十分あると思う。
ただ、最初に書いたように、システムの良し悪しと、人の良し悪しは、別である。
仕事量が少ないから、施工まで手がけられるCM方式も業務としているという事務所も少なからず存在すると思われる。
くれぐれも、そういうところに頼んでしまって後悔することの無いよう、気をつけていただきたいと思うのである。
誰かに、指摘されたりクレームを受けたわけではないが、ちょっと気になったので書いてみた。