僕は常々、日頃建築に関係のない一般の方々にも、建築や街づくりに関心をもってもらいたいと思っています。また、自分の建てる家が、みんなの景観に影響を与えていることに、もっと意識して欲しいと感じています。
普段、建築とかまちづくりなどにあまり関わりの無いの方と話をすると、自分の住んでいる用途地域すら知らない人が多い。
商業地域などは、風俗店なども建築できるのに!
共同住宅などの中高層建築物を建設するときには、近隣の方々に説明に行くのですが、そのときはじめて、自分の家の前にそのような巨大な建物が建てられることを知る人も結構いたりします。それを知ったときに落胆の表情を示す人に説明するときなどは、やるせない気持ちになってしまいます。
しかし、こちらも合法建築物を設計している。ここで建築できなければ生活できない。
そして、よっぽど反対の人が多い場合、マンション建設反対運動などに発展していったりも・・・。
建設計画が持ち上がったときのはもう手遅れの場合が多いのです。
建築する側は、ある程度の譲歩はしますが、到底納得のいくところまで計画を縮小する気はありません。そんなことをすれば事業として成り立たないからです。
しかも、仲介に入る行政の側も「日本は法治国家なので法に則った建物なら、紳士的な対応をしていれば事態は収束していく。」などと平然と言ってのけたりします。
これでは、素人集団の住民側はたまらない。(なんたって、建築法の体系自体が、無防備な一般市民が平穏に生活していけるようになっていないのですから・・・)
しかし、都市計画の仕組みや建築基準法を知っていれば、地区計画とか建築協定とか、招かざる建築物を未然に防ぐ手立てが用意されていたりします。
自分の住んでいる地域の現在の環境が気に入っていて、それを守っていきたい、もしくはもっと良くしていきたいと考えているなら、そういう手立てをとっておくに越したことはありません。
話は変わりますが、諸外国では初等教育から、建築がカリキュラムに組み込まれている国が多いと聞きます。
日本では建築は工学に分類されていますが、外国では「建築」というひとつの学問のカテゴリーである場合が多いようです。
日本でも是非、初等教育から建築やまちづくりに関わる機会をつくって欲しいと思います。
そうすれば、もっと自分の住む地域に関心のある人が増えるのではないでしょうか。
僕も、そのために、もっとがんばらなければ・・・・。