住宅着工3割減・・・またも耐震偽装発覚に感じること

asahi.com(朝日新聞)のニュースから
7・8月の住宅着工、3割減 耐震偽装で審査厳格化
2007年10月15日

専門誌などでは、建築基準法改正の影響で新規着工数が大幅に減少しているニュースを目にしていましたが、一般紙でも取り上げられるようになってきました。
経済に与える影響が、目に見えて出てくるようになったということでしょうか?
法改正以降の建築確認ですが、(あまり出していないので、なんともいえませんが・・・特に民間確認検査機関は敬遠して出していないので)、以前よりも書類チェック的なところで細かくなってるような気がします。
ただ、設計内容の部分に関しては、指摘は多くなれど変更する部分は無く・・・。といった感じで。

つまり、出来上がる建物は、以前とまったく代わりが無いわけでして。
書類の整合ばかりが求められ、何をチェックされているのかよくわからないような感覚に襲われてしまいます。
建築確認自体は、今までがあまりにもいい加減だったところもあるので、厳格化というのは必要なのでしょうが、書類チェックの厳格化よりも、肝心の法令順守の厳格化をまず持ってするべきだったんじゃないの?と感じてしまいます。

結局今回の法改正で一番損害をこうむったのは、いままで常識的な仕事をしていた建築事務所と、最終的に無駄な負担を強いられることになったエンドユーザーということではないかと、釈然としない思いの中で日々仕事をしている毎日です。

そもそも、建築確認の内容自体も、転売目的で建物を建てる場合と、自己所有・自己使用目的で建てる場合で、審査内容が同じというのも、果たしてそれでいいのか?という感じもあり・・・。

前者と後者において、どうしても、しっかりつくらないといけないという気持ちに違いがあるのは明らかなのではないでしょうか?建築確認も、建築許可制度同様に、事業用途と自己使用とで審査基準を変える必要があるのではないかと感じてしまいます。

話は変わりますが、また、耐震偽装が発覚したようです。建築士が構造計算偽装 「他にも数件」認める 埼玉
2007年10月15日21時55分

もう、「呆れた」としか言いようがありません。
人の命とか、財産とか、どう考えて仕事をしているのでしょうか?
忙しいとか、報酬が少ないとかといったことがいわれますが、設計の報酬って、その昔から、決して多いものではなかったと思います。
設計の仕方が分業化して、「建物を見なくなった」「建築主の顔を見なくなった」関係者が増えたことが一番の原因のような気がします。
相手が「人」や「建物」ではなく、「数字」や「線」では、仕事に対する責任感というものが希薄になっていくのも当然だと思います。そのために、”数字合わせ”という言葉どおりのことが行われてしまうのではないでしょうか?
設計って、非効率で、もっと泥臭いところを大事にしなければ、うまく物事が進んでいかないのではないかと、最近強く思ってしまうのです。

 


引用した記事の本文はこちら。
7・8月の住宅着工、3割減 耐震偽装で審査厳格化
2007年10月15日
改正建築基準法が6月に施行されて以降、新築住宅の着工戸数が7、8月の2カ月間で前年に比べて3割以上のかつてない落ち込みを記録している。耐震強度偽装事件を教訓に、建築確認の審査が大幅に厳格化されたためで、マンション建設の遅れや建設資材の出荷減など、景気への影響を懸念する声も出始めた。
建築基準法は昨年6月に改正され、今年6月20日に施行された。国土交通省によると、新築住宅の着工戸数は6月が12万1149戸で前年比6%増えたのに対し、7月が8万1714戸で同23.4%減、8月が6万3076戸で同43.3%減。8月の下げ幅は過去最大という。
改正は建築確認審査の厳格化を図ったもので、従来の自治体や民間検査機関による審査に、新設の「構造計算適合性判定機関」を加えた2段階のチェック▽審査期間の最大70日までの延長▽3階建て以上の共同住宅への中間検査の義務づけ――などが柱となっている。
新制度移行直後は、審査基準の詳細が現場担当者に浸透していないことから申請の見合わせが相次いだ上、過度に厳しいチェックで「不適合」の判断を繰り返した検査機関もあったとみられ、7月の建築確認件数は前年比39.3%減の3万6355件だった。
確認申請のペースが回復してきたとみられる現在も「新制度になってまだ一件も建築確認が下りていない」(大手マンションディベロッパー)ケースもある。
別のディベロッパーの担当者は「着工計画に遅れが出ると、建設機材のレンタル料や金利負担が増す。最終的には販売価格に転嫁せざるを得なくなる」と話す。
社団法人セメント協会(東京都中央区)加盟18社では、セメントの国内出荷量が8月は前年比で6.3%減るなど、建設資材の需要にも影響は広がっている。

建築士が構造計算偽装 「他にも数件」認める 埼玉
2007年10月15日21時55分
国土交通省は15日、横浜市内に建設予定だったマンションの構造設計を担当した「藤建事務所」(埼玉県八潮市)の遠藤孝1級建築士(60)が構造計算書を偽造していた、と発表した。このマンションは工事が中止された。遠藤建築士は横浜市の調査に「時間に追われてやった。他にも数件やった」と話しており、同省は同建築士が構造設計した首都圏などの約50件について、所在地の自治体に偽装や耐震性の有無の調査を要請した。
国交省と横浜市によると、マンションは積水ハウスが建築主で、同市西区に建設予定の地上9階・地下1階(高さ約30メートル、99戸)。基礎工事段階だった。民間検査機関「東日本住宅評価センター」(同市)が、6月12日に建築確認した。
遠藤建築士は、約3800ページの計算書のうち6カ所で計算結果の「NG」の文字の上に「OK」と張り付けて改ざんしたほか、コンピューター入力の段階で161カ所の壁や柱を壊れにくいように偽った。偽造した計算書に基づいて設計した建物の耐震強度が、基準を満たしているかは、調査中という。
遠藤建築士は「後で修正するつもりだったが、そのままになってしまった」と偽装を認めたが、他の偽装物件の数や名称は明かしていないという。
同センターは姉歯秀次・元1級建築士の偽装を見逃したとして06年5月、同省から業務改善命令を受けた。同センターは「2度も見逃しがあったのは申し訳ない」とコメントした。
建築確認後、建主から審査を依頼された性能評価機関が8月30日、偽装の疑いがあると同省に連絡した。横浜市が9月上旬調査に乗り出し、同19日、遠藤建築士が偽装を認めた。
構造設計は設計全体を請け負った東京都港区の設計事務所が「構造計画研究所」(中野区)に委託、さらに藤建事務所に再委託された。遠藤建築士は以前、構造計画に在籍していた。

「住宅着工3割減・・・またも耐震偽装発覚に感じること」への1件のフィードバック

  1. またしても耐震偽装

    またしても耐震偽装が見つかった。 もう、呆れるしかないという状態だ。 今まで正直に仕事をしてきた設計事務所は、余計な手間を増やされ、図面の粗探しみたいな建築確認を受けさせられ、迷惑被っているというのに・・・。 asahi.com(朝日新聞)の記事から 建築士が構造計

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