首都高地下移設といいますが・・・

最近、活発になってきている日本橋の首都高地下埋設の議論ですが・・・。
なかなか難しい問題なのでしょうが、僕の周囲では否定的な声のほうが大きいような気もします。

確かに日本橋という場所は、歴史的な意味を持つ場所なのですが、現在、お世辞にも景観がよいといえる場所ではありません。
ただ、首都高が無くなったからといって、飛躍的に景観がよくなるかといえば、首都高が無くなった候の効果しかないような感じもするのです。
日本橋界隈も、首都高以外にも景観を壊している要素はたくさんあるのではないでしょうか?首都高というハード的な障害を取り除いたとしても、人間の側のソフト的な意識を高めなければ、悪い景観というのは減っていかないような気がします。

また、日本全国いたるところに、”なんとかせんか”という景観はたくさんあり、日本橋だけが特別に悪い景観というわけではないと思います。
やはり、一地方の問題として考えるほうが自然な姿なのではないかと思ってしまうのです。
決して、歴史へのノスタルジーとか、そこに住む人たちのエゴで方向を決めるようなことはしてほしくないと思います。

ところで、新聞記事によると、その経済波及効果は数兆円ということと取れるのですが、そんなに儲かるのなら、小泉首相得意の”民でできることは民で”よろしいのでは・・・。

僕個人的には、儲かる仕事は行政がやらなくてもよいと思うのです。

今回の首都高地中埋設も、民間に事業の権利をすべて渡して、行政は公共の福祉にのっとって開発をコントロールするという仕組みがあると、スムーズにいったりするのでは・・・。

逆に、そこで手を上げる民間事業者がいないのだったら、今の国家財政からいって、事業化するに値しないプロジェクトなのではないかと思ってしまうのです。


*****記事原文はこちら*****
「日本橋みち会議」、首都高地下移設を首相に提言へ -asahi.com-
2006年08月23日20時27分

東京・日本橋の上を覆う首都高速道路をどう移設するか検討してきた小泉首相の私的諮問機関「日本橋川に空を取り戻す会(日本橋みち会議)」は23日、道路の一部を地下化することが適当とする報告書の作成に着手した。9月15日に首相に提出する。
会議はすでに首都高江戸橋ジャンクション(JCT)―竹橋JCT間の約2キロを4車線の浅いトンネルで地下化することで一致している。23日の会合では、4000億~5000億円かかるとされる工事費のほか、「数兆円」ともいわれる経済波及効果の見積額の具体的な提示は先送りした。
移設の理由は景観問題。会議は、費用は「技術的な改善や設計の工夫で圧縮する」(代表委員の中村英夫武蔵工業大学長)とする一方、経済効果は「工事費よりはるかに大きい」(同)と強調している。だが、巨額の公共事業には「無駄遣い」との批判も根強く、ポスト小泉政権での実現性は不透明だ。
報告書には地権者の権利調整を促すため、容積率の移転や税制優遇策なども盛り込む。

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日本橋に青空は戻るか
夢をもって、日本橋の上を思い切って空にむかって広げてみよう」。昨年暮れ、小泉首相がこう発言したことから、日本橋の首都高速移設論議が有識者らを中心に熱を帯びてきた。経済性を優先した往時の首都高速建設。由緒あるお江戸・日本橋を覆う巨大な構造物を取り去るには、少なくとも数千億円の費用が必要という。こんなこと、今さらできるの。(石塚知子)
「ほら、ここが日本橋よ」
中年女性の集団が記念写真を撮っている。彼女たちがカメラを向けていたのは、日本橋川を覆う首都高速道路高架の側面に張られた「日本橋」という金属プレートだった。
名橋日本橋保存会事務局長の永森昭紀さんは、そんな勘違いの光景を横目に苦笑することが度々だという。
明治時代につくられた現存の日本橋も、日本国道路元標などの史跡も、東京五輪にあわせて建設された首都高速の高架道路に圧迫されて目立たないのだから仕方がない。
東京大学の藤森照信教授(建築学)はこう振り返る。「東京五輪開催を目前にした日本人は、国際社会にやっと復帰できる喜びで満ちあふれていた。同時に悪い過去は捨てようというのが、保守にも革新にも共通の思想でした」
昨年末、英「タイムズ」紙に日本の醜い景観について記事を書いたレオ・ルイス記者は、日本橋川に突き刺さる首都高速の橋脚を「地獄から伸びた柱のようだ。戦後復興の思いは理解できるけれど、残すべきものを見失ったのは誤りだった」と話す。
本来、東京を代表する観光名所であるべきこの地は、多くの外国人向け観光ガイドでは主要項目になっていないという。
こうした状況下、保存会では、83年ごろから首都高速移設の検討を求め、橋の清掃行事や川の水質改善などPR活動を行ってきた。「地元のエゴではなく、日本の財産を取りもどしたい。日本橋をめぐる問題は、小泉首相のにわかな思いつきではないんですよ」と永森さん。
01年には国レベルでの議論が始まっている。扇千景国土交通相(当時)が「日本橋は首都・東京の顔であり、国として取り組むべき課題」として、学識経験者による委員会を設置。03年に保存会などの地元の組織と合同で懇談会を設立して、首都高速移設案を具体的に検討し始めた。
武蔵工業大学の中村英夫学長は都市交通の専門家として、01年から移設検討を指導してきた。「21世紀にふさわしい品格のある都市を再構築するために日本橋再生は必須」と訴え続けている。
◆事業費3000億~5500億円
現在、日本橋上を走る首都高速道路の竹橋ジャンクション(JCT)から江戸橋JCTまでの約2キロの区間の地中には、6本の地下鉄が違う深度で走る。これをどうクリアするかが課題だったが、移設案は表にある4案に絞り込まれた。日本橋川沿いの浅い地下を通す3案と川の北側を高架で通す案だ。
いずれも日本銀行など歴史的建造物を保存できる。特に浅い地下3案は、以前に検討された深い地下を通す案より傾斜が緩やかなためより安全で、高速が地下に潜るため、景観面での改善効果も大きい。概算事業費は3000億から5500億円とされる。
ただ、この事業費で収まる保証はない。中村氏ら有識者4人で構成する「日本橋川に空を取り戻す会(日本橋みち会議)」のメンバーで、小泉首相のブレーンでもある早稲田大学の伊藤滋教授が言う。「地下を掘れば水が出るなどトラブルはつきもの。仮に5000億円と見積もっても、それで収まるはずはない。2倍は考えるべきでしょう」
それでも、伊藤教授は、首都直下型地震に備え「40年以上経過した首都高速道路をより安全につくりかえる好機とみるべきだ」と主張する。
図右下は懇談会が04年に行った日本橋まちづくりアイデアコンペの最優秀作品。首都高速は地表から姿を消し、すっきりする。ただ、こうした計画の実現には、75~130棟のビルなどが工事の支障になるとみられている。
中央区都市整備部によると「周辺を含めた再開発事業の形で公園整備などを行えば、全体の用地費を抑えられる可能性もある」という。移転が必要になる地権者らへは、「現在進んでいる東京駅前開発などと連携させて対応する予定がある」と述べる。
三井不動産は、日本橋三井タワーを建設するなど、昨年から独自に日本橋再生事業に取り組む。川沿いのビル移転で鍵を握っている。
◆ガス抜き効果か
移設の当事者となる首都高速道路株式会社計画・環境部総括マネージャーの西岡誠治さんの心境は複雑だ。
「首都高速ができた当初は、SFマンガが描く未来図のような光景にみな新鮮な思いを抱いて喜んだそうです。いずれにしろ、今後45年間にわたる投資計画はすべて決まっているため、こちらで負担できる原資はありません」
ならば、「税金で」ということになるが、道路公団分割民営化実現に尽力した作家の猪瀬直樹さんは冷ややかに言う。「せっかく無駄な道路を造らないために民営化したのに、都税や国税を投入できるわけがない。工事の受注の欲しい建設会社、国土交通省の役人など、民営化実現で生じた不満分子のガス抜きに使われているに過ぎない」
一方、21世紀の公共事業の試金石と位置づけるのは、明治大学大学院の青山やすし教授。石原都政で副知事を4年間務めた経験をもとに、「ニューヨークやロンドンをみても、世界は都心投資の時代に変わっています。正面から議論した方がいい」という。
5年後の2011年は、現存する日本橋の100周年。その2年前には2016年の五輪開催国が決まる。日本橋再生を五輪招致活動の旗印にという声もある。小泉首相任期中に何らかの結論は出るのか。
参考情報  海外にも都心部の高架高速道路を撤去して都市整備した事例がある。米国ボストンのビッグ・ディグは、約1兆8000億円かけて、地下の深いトンネルに高速道路を通した。韓国ソウルの清溪川(チョンゲチョン)の復元事業では、川を覆っていたコンクリートとその上の高架道路を撤去し、市街地の中心部に川の流れを取り戻した。

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