脱「原色」 ファーストフード

最近、ファストフード店の色使いが変わってきたという記事からです。

朝日新聞06.07.22夕刊の記事によると、
「派手な原色が売り物だったファストフード店の看板が、落ち着いた色づかいに変わってきた。・・・・・業界として成熟期を迎え、従来の「明るく楽しい」路線を維持しつつも、高級感や上質感にも重点を置き始めている。」
ということです。

従来、チェーン店は”どこにあってもわかる”ということに重点を置いて、統一したデザインの店を全国各地に出店してきました。しかし、それは悪く言えば、周辺の環境に配慮していないということだったと思います。
”日本全国どこへ行っても、郊外のロードサイドは同じ風景になってしまった”という悪弊は周知の事実だと思います。

ただ、ここへきてのファストフード店の路線転換。
”もう、十分、店は覚えてもらった”ということもあるのでしょうが、消費者のニーズが多様化してきているぶん、立地条件に合わせた店舗デザインというのも重要な要素となってきているのでしょうね。

なにはともあれ、質の高いデザインが増える事は好ましいことですね。
なかには、頑張りが空回りになってるのもあるような感じもしますが・・・。
とりあえず、asahi.comに同じ内容の記事がありましたので転載しておきます。

 


脱「原色」 ファーストフード 2006年07月23日
<店改装で高級・上質感演出>
●緑や茶 装飾に
遠くからでもすぐに目につく赤や黄色……。派手な原色が売り物だったファストフード店の看板が、落ち着いた色づかいに変わってきた。目指すは、客層や景観に合わせた個性的な店づくり。業界として成熟期を迎え、従来の「明るく楽しい」路線を維持しつつも、高級感や上質感にも重点を置き始めている。(横田千里)
【ミスド】 ミスタードーナツ西尾店(愛知県西尾市)は今年3月、改装オープンした。オレンジと黄色のラインに白いロゴの看板は、茶色地に朱色と様変わりした。内装の色づかいも上質感あふれるものになった。
家族でよく訪れるという近くの主婦(33)は、「以前の派手な感じと違って雰囲気が落ち着いた」と好印象だ。
こうしたタイプが登場したのは2年前。札幌市北区の麻生店を皮切りに、現在、全国約1300店のうち、37店に導入された。
きっかけは、03年に実施した顧客調査だ。顧客の持つイメージは「アットホーム」。イメージを生かし、幅広い年齢層にアピールするためには、「金太郎アメ」ではなく立地や客層に合わせた店舗開発が必要だった。
店舗開発室の浦井繁・1級建築士は「中心はファミリー層や主婦層で、20代の女性には物足りない面もあった。同時に40代以上にも抵抗をなくしてほしい。必要なのは上質感だった」。
新型店の導入は今年度から本格化し、新規店や改装店は順次、新型に変える。ただ、すべてを変えるかどうかは未定。郊外や地方では、従来の方が親しみを持たれる場合もあるからだという。
久野信太朗・店舗開発室長は「地域やお客様に合ったもの、求められるものを提供していく。さらに新しいタイプも出てくるかもしれない」と話している。
【マック】 真っ赤な地に「ゴールデンアーチ」と称されるMマークと、「マクドナルドハンバーガー」の文字。ひときわ目に付く看板が変わり始めたのは、ここ数年のことだ。
赤と黄以外の色づかいや英文字のロゴが増え、象徴の「M」がすぐには見あたらない店もある。外壁や内装も大きく変わった。
「内装だけを見れば、マクドナルドなのかカフェなのか分からない店も増えた」(同社コミュニケーション部)
牛海綿状脳症(BSE)問題の影響などによる業績悪化を受け、03年からは新規出店を抑制し、改装や引っ越しなど既存店重視へ方針転換。新しい店舗デザイン作りにも着手し、04年夏までに五つのデザインが練り上げられた。
05年度、初めてデザインのマニュアルを冊子にまとめた。新しいデザインに基づく同年度の改装・新規開店は約300店。改装した約75%の店で売り上げが伸びた。
斎藤明弘・設計管理部長は「もうマクドナルドを認知してもらおうという時代ではない。デザインは固定せず、常に新鮮であり続けるようにしたい」と話す。
【モス】 赤を主体としたモスバーガーの看板が、最初に緑に変わったのは04年2月。この「緑モス」は今年3月末までに、全店の約半数の740店に広がった。5年で全店が緑モスとなる予定だ。
「カフェやレストランという感じ。派手じゃなくてかわいい」。名古屋市内の緑モスを訪れたフリーターの女性(27)は、ファストフードらしくないところが気に入っているという。
創業以来、モスバーガーは素材選びや注文後生産で他社と一線を画してきた。「レストラン並みのサービスと商品を、ファストフードの仕組みで提供する」という考えの中で緑モスは生まれた。
従来の「赤モス」には、「街にとけ込んでいない」という指摘もあった。緑色は「安心・安全・環境」を象徴。店の基準にも「禁煙か完全分煙」「男女トイレ分離」「原則25坪以上か40席以上」などの項目が並ぶ。
「目立たなくなったのでは?」という声に、後藤賢一広報室長は「目立つことが第一ではない。街にとけ込み、心の安らぎを感じてもらうことを優先したい」と言う。
<「若い人がおしゃれと感じ 年配者も落ち着ける場所」>
●マーケティングコンサルタント・西川りゅうじん氏
カフェチェーンなど「おしゃれな」ライバルが増え、一方では消費者に健康志向や環境志向も強まっている。ファストフード業界が、目立つことよりも緑や茶といったまさに「自然の色」を重視するようになったことには、その影響も大きいのではないか。「若い人がおしゃれと感じ、かつ年配者も落ち着ける場所」へのイメージチェンジをしなければ、従来の店舗や商品に飽きている消費者の気持ちはつかめないだろう。

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