ウラ図面で違法建築

今日の朝刊に、東横インが二重図面で偽装工事をしていたという記事が載っていた。

建築確認は、合法な図面で受けておき、実は最終的には、違法なウラの図面で建物を完成させるというもの。

これが悪質なのは、建築確認を受けた合法な図面で工事を完成させ、完了検査まで受けているということ。
そして、検査済証交付直後に、建物をとりこわし、違法工事をしているということである。

しかし、悲しいことに、こういう事は東横インのみならず、日常茶飯事に行われている。 と思われる。

実は、僕も、設計時に”それをすると違法になる”事を相談される事はある。
そういう時は、丁寧に違法建築になることを説明して、検査済証がおりない事はもちろん、自分は監理もできないという話をさせてもらう。

ただ、検査済証がおりて引渡しをしてから、建物オーナーが勝手に違法建築に改造することまでは立ち入れない。
(その事実を知っていれば告発するべきなのかもしれないが、検査済証を受けて引渡しが住んでいる以上、私的な契約のみならず、建築基準法上の義務もそこで終了したと考えるほうが自然だと思う。すべての建物を等しく考えるのならば、その建物だけを告発するのでなく、疑わしきはすべて調べなければならない。批判を覚悟で言えば、それは個人がすることではないと思う。)

今回の件も、一旦検査済証の交付を受け、設計事務所・ゼネコンとの契約が終了してから、建物オーナー側の業者が再度施工しなおすというかたちで工事が行われている。

この件について腹立たしく思うのは、行政側の「こんな手口は初めて知った」というコメントである。

白々しいにも程がある。

これまで建築行政は、違法建築を知りながら見て見ぬふりをしてきた。
”違反建築でも、建てて使い始めてしまえば、役所は壊せとは言わない”というのが常識になってしまっているのが現実である。
耐震偽装事件にしても、役所のそういう姿勢が一番の原因なのではないかと思っている。

建築基準法は、違法建築には撤去命令を出すことも認めている。
しかし、役所は建ててしまえば違法なまま使用し続けることを許してきたのである。

もちろん、僕ら建築士のサイドが悪くないとはいえないが、役所が違法でも壊せといわないと言うことを知っていて、違法建築をつくれという建築主もいる事は、揺るぎもない事実なのである。

一般の人にはわかりにくいが、建物関する行政というのは、実は2つに分かれている。
一つは建築基準法をもとにする行政であり、もう一つは消防法を基にする消防署である。
そして、消防署の方は、(建物の用途にもよるが)建物完成後も定期的の立ち入り検査が行われている。

消防はできて、なぜ、建築行政はできないのか?
あきらかに、役所の怠慢なのではないだろうか。

今後、建築行政と、建築に関する消防行政を一本化して対応していくことも視野に入れた改革が必要なのではないだろうか。

「ウラ図面で違法建築」への2件のフィードバック

  1.  確かに、住宅程度なら皆やっていると感じます。
    でも、不特定多数の人が利用する公共施設ではやってはいけませんね。
    自分に振り返って考えると、個人の住宅では悩むところです。
    ロフトの天井高とかはっきり言って1,400mm以下だと使いつらいし…。
    誰にも迷惑のかからない個人所有の住宅の内部ってどう考えますか?
    1,400mmを超えると階に参入されて階段つけないといけないし…。

  2. 悲しいことに、商業建築所有者の中には、遵法精神よりも生産性のほうを優先する人が非常に多いような気がします。
    金儲け第一主義ですね。
    実際は個人住宅内部ってのは誰にも迷惑をかけてないような気がします。
    が、不動産を流動資産として考えたときに、違法建築に資産価値があるのかどうかという問題もあるかと思います。
    実際に”中古市場に出回ったときに問題になった。”なんてことにならないよう、注意する必要はあると思います。
    ただ、建築基準法ってのは、場当たり的に改正されるから、既存不適格の建物があふれているのでしょうけど。

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