クレームについて考えてみる

建築のクレームについて、ふと思ったのです・・・。

完成した建物に不備や不具合なんかがあると、やはり、それは直してほしいわけで、施工業者に非がある場合は、それがクレームとなってくるわけです。
ただ、この不備・不具合というのが、やっかいなものでして・・・。
建築というのは、職人さんが現場で作るものなので、さまざまなグレーゾーンというのが存在するわけなのです。
当然、見れば明らかに”欠陥建物”なんていうのもあります。
職人や現場監督が無知だったり、職人が下手くそだったり、手抜き工事なんていうのがこれにあたります。
ただ、一見、しっかりと出来上がっているように見える建物でも、いろんな原因のグレーゾーンに属する不満というのが、使い始めると、わいて来るものなのです。
(建築途中からある場合もありますが・・・)
つまり、同じことでも気にする人と、まったく気にならない人がいるので厄介なのです。

毎回、気の毒だと思う不具合が”悪意のない勝手な変更”。
実は、設計者の立場からすると、これは結構ムカつく。
つまり、”設計図にはこう描いてある”けど”このほうがいいと思った”から”こうしておいた”。というやつ。
ぶっちゃけた話、設計図というのは確かに何も考えずに適当に描いてあるところもあるのだが(それは僕だけか?^^;)、デザインした人間の思い入れがあってそう描いてある部分もあれば、(一番重要な)建築主の要望があって、そう描かれている部分もある。
そうした事は、図面を見ているとなんとなくわかる箇所もありますが、たいていの場合は、どうでもよくてそう描いてある部分と思い入れがあってそう描いてある部分を、第三者が正確に見分けるのは困難なことなのです。
たとえば、全体にシンプルに、余計な装飾がない空間に設計した時なんかに、現場に行ってみると、建具にコテコテの金物がつけられてたりすることがあったりするのです。
品番まで指定してあるのに・・・。
こういうときはたいてい「こっちのほうが高いし、立派に見えるから、いいと思った」なんて言われる。
その言葉に一瞬たじろいでしまって、怒りがこみ上げてくると同時に、なんともいえない虚しさがこみ上げてくるのである。
などと書いていますが、最終的には直してもらうのですけど・・・。
(実際には、このコテコテを建築主さんが気に入ってしまうという、設計者として更なる悲劇が待ち受けてることもあるのですが・・・・。)
こういうこと結構あるのです。
というか、日常茶飯事です。
手を抜いたわけでもなく、余計なお金を使ってまでやってくれてることなのですけど、それはやっぱり建築主の要求する性能を満たしてないわけでして、クレームとするしか仕方のないことなのです。

職人さん。
図面がへんだと思っても、勝手に替えないでよ。
意見してくれれば、こっちもちゃんと考えるんだからさあ。

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